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桜咲く季節【第60話】

08/26
そもそも、何故自分は桜ちゃんと付き合う事に抵抗があるのだろう。


昔は許嫁だった仲なのに。


相手が自分を好いているのは明白で、付き合いたいから声をかけて連絡先まで交換して…

なのに何故、迷う必要がある。


記憶が不十分だからか?否、記憶は全部といっていいほど思いだした。


昔から桜ちゃん一筋で…迎えにいくとも約束していた。


なのに何を悩む必要があるんだろう。


もぅ一度手に入れてもいいかな…。

紅葉は自問自答の末に決心した。

『桜ちゃん…俺は…俺は過去に何をしているかわからない。
記憶のない間、人を殺してるかもしれないし…
あるいは飲んだくれだったかもしれない。
だから今まで、この距離を保とうと思ってた。
記憶を全て取り戻してからにしよう…。
そう思ってた。
でも、その…桜ちゃんがあんまり可愛いから抑えがきかない。』


桜は首をかしげた。


『かっ…可愛いとか言っても何もでませんよ?
紅葉さん、私過去は気にしません。
過去を気にしたって過ぎたものは仕方がないですし。』


ポタポタとなにかが滴った。


『あ…』


紅葉は気づけば泣いていた。

過去を気にしない。このなにげない言葉が酷く心に響いた。


だが桜は告白された事気づいていないみたいで、紅葉は困ったなと言わんばかりな曖昧笑みを浮かべた。


紅葉はそっと桜を抱きしめた。


『紅葉…さん?』


『……だ…。』


『へ?』


『好きだ…ずっと好きだった。記憶が消えてもずっと好きだった…。そばにいてほしい。』

いきなりの紅葉からの告白に驚き大きく目を見開いたが、桜もすぐに抱きしめ返した。


『私も好きです。』



それから、どれくらいの時間そうしていただろう。

気づけば0時がすぎようとしていた。


『あっ。もうこんな時間。私そろそろ部屋に戻りますね。』


『うん。ごめんね。………ありがとう。』


紅葉の微笑みに桜はホッとして部屋を出た。


自室に戻ると崩れるように座った。


『急すぎて何がおこったのか処理できないよ…//』


でも、今日から紅葉さんは彼氏なんだ…。


そう考えると顔が火照り湯気がでそうだった。


その夜はなかなか眠れず、寝不足で朝を迎えた。

【続く】
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桜咲く季節【第59話】

07/29
『ご…ごめん!!』

と土下座した。


『俺、頭がおかしくなってて…』


桜はしゃがむと大きく息をすった。


『ごめんなさい!!先にご飯食べちゃったの怒ってますよね。待ってようと思ったんですけど…椿ちゃんにせかされちゃって…
次からは待ってますから…あの…』



紅葉はポカーンとした顔をして桜をみた。


どうやら、ご飯を先に食べた事に怒っていると思っているようで笑いが込み上げてきたが、紅葉はぐっとこらえた。


『こ…こっちこそごめん。えっと…。』

紅葉の声が若干震えていた為に相当怒っているのかと思い、ついに泣き出してしまった。

『さ…桜ちゃん…。とりあえず、ここじゃ色々とまずいからこっちきて。』

紅葉は桜を自室に連れ込んだ。


紅葉の部屋は凄くシンプルで真っ白な壁とうすいベージュの絨毯が更にシンプルさをかもちだしていた。

家具はベッドと机とクローゼットのみだった。

とりあえず、桜をベッドに腰かけさせ自分は机についている椅子に腰かけた。

『桜ちゃん。俺は食事の事で怒ってないよ。
というか全く怒ってないから。』


桜は瞳いっぱいに涙をためたまま紅葉の顔をじっと見つめた。


『記憶が戻って少し、昔を思いだして混乱してたんだよ。』


『昔…ですか?』


紅葉は静かに頷き微笑んだ。


『昔、その……俺と…』


凄く気まずそうな顔をしている紅葉を見て桜は首をかしげる。


『大丈夫です!!どんな話でも受け入れますから!!』

桜は涙を拭い、キリッとした顔をして紅葉の顔を見つめた。


『昔、俺と桜ちゃんは…付き合ってて…』


紅葉は目をそらしながら話した。


許嫁だからあたり前かもしれないが、年齢的な問題でアウトな気がした桜は『え゛…』と固まってしまった。


紅葉は顔を真っ赤にしてすまなさそうな顔をした。


『あの時の……。
あの時の小さな桜ちゃんがこんなにも…可愛くなったかと思うと。
つい抱きしめたくなって…』

半分は嘘だった。独占したかった等言う勇気がなかった。

付き合ってもいないのに言えるわけがない。

『えっと…その…私、最初紅葉さんに会った時、はじめて会うって感覚よりも…
まるで家族に迎えにきてもらったような…感覚でした。
心の底では待っていたのかもしれませんね。』

桜はそういうと微笑んだ。

紅葉は自分の中でこの距離の限界を感じた。
もぅ…ダメだ…
【続く】

桜咲く季節【第58話】

07/23
どれほどの沈黙が流れただろう。

紅葉がゆっくりと埋めていた顔を上げた。


『わからない…。』


太一は悔しそうな顔をしていて紅葉は手を伸ばして太一の頬に手をやった。。


『けど…。
俺は今は赤井紅葉。
太一の兄だよ。』

紅葉は太一を安心させるように微笑みをみせた。

太一は目を細め少し嬉しそうに『そうか。』というと去っていった。



しかし心の中は自分が葉なのか紅葉なのか分からなければ、誰にどう接すればいいかも分からず混乱していた。


紅葉は自室に入ると携帯をとりだし檸檬に電話をかけた。


《はい。檸檬です。》

『峰斗。俺だ。』


電話の向こう側の檸檬は目を大きく見開いて驚いていた。

声は紅葉だが、いつもより低い…紅葉の基本は《もしもし、赤井と申します。》から始まる。


こんな話方は幼き頃からの友人、紅 葉しかいない。
峰斗はおそるおそるだが聞いた。


《思いだしたのか?》


『あぁ。思いだした。やっぱり俺が葉だった。』


紅葉は電話しながらネクタイを緩めた。


《今まで、どこで何をしていたんだ?》


『家出してから病院で目が覚める迄の記憶だけ…思いだせない。』


なさけない声、いい歳して泣いているのか?檸檬は溜息をついた。
きっと、自分はどちらにいけばいいかわからなくなっているんだろうな。と親友である峰斗は感じ取っていた。
親友であるからこそ、分かったのかもしれない。

《で?思い出したからって紅葉という人間は消えたのか?》


『いや、消えて・・・ないけど・・』


《あのなぁ、どんな道を歩いていようがお前はお前だ。
記憶なんてどうでもいい。
大事なのは過去じゃなく今だ。
お前もわかっているだろう?》

紅葉は大きく目を見開いた。わかってた。自分は自分で接し方がわからないなんてことないって。
ただ一度にいろんな記憶がはいってきて混乱していたんだ。
だから・・・

『そうだな…俺は俺だ。
ありがとう。ほうと。』


《いや、俺は何もしていない。じゃあな。》



『あぁ。そうだな。』

晴れやかな声を出す紅葉に檸檬は安心した。

《ま、お幸せにな。》

そこで電話は切られた。


それからなにげなく部屋を出ると桜がいた。


髪が濡れて頬が紅く上気していた桜を見て、心がモヤモヤした。


『あ、紅葉さん。ご飯先に頂いちゃいました。』

悪気ない桜の微笑み。

その全てを独占したくて、気づいた時には桜を抱きしめていた。


『えっ?あっ…紅葉さんっ?』


『桃みたいな甘い香りがする…。』


『あ、お風呂入ったからシャンプーの匂いですかね?椿ちゃんのシャンプー凄く良い香りしてましたし…』


紅葉の吐息が耳にかかり桜はゾクゾクと背筋が震えた。

『昔は…敬語じゃなかったのに…』

『あっ…えっと…』


ふと桜の顔を伺う紅葉。


今にも泣きそうな顔をしていて…


紅葉は…


【続く】

桜咲く季節【第57話】

07/21
『いえ、こんな昔のドラマみたいな事本当にあるんだなって…』

桜は微笑みをみせたが深い悲しみを帯びていて、紅葉は困ったなという顔をして隣に座った。


『例えばだけど、貧しい家は毎日働きにでて欲しいものも我慢して生活を成り立たせないといけない苦労があって、お金持ちはお金持ちな為にそれ相応の振る舞い方や気軽に繁華街を歩けなかったり好きでもない人と結婚させられたりと苦労がある。
俺も桜ちゃんも後者なだけで、これはこれで普通なのかもしれない。』


桜はよりいっそう悲しそう顔になり紅葉は目を見開いた。


『あっえっと…遅くなると母さん心配するし帰ろうか。』

桜はじっと動かず泣くのを堪えているのか体が少し震えていた。

そんな桜を見るに耐えなくなり紅葉は桜をお姫様抱っこした。

桜は驚き紅葉の顔を見た。

『まぁ、後者といってもこんな可愛い子と結婚の約束をしてたなんて俺は幸せ者だよ。』
と、ニコリと微笑んで見せた。


桜の顔はみるみる赤くなり家に着くまでずっと黙りこんでしまった。


『ただいま。』 と紅葉が言うと椿がぴょこっと顔を覗かせた。


『桜さん!!お帰りなさい!!』
椿はパタパタと小走りに寄ってきた。


『ただいま椿ちゃん。』

『夕飯できてますよー。行きましょう。』

椿は桜の手をぐいぐい引いた。


『椿、そんな急かさなくても。
桜ちゃん鞄部屋に運んどくから先に行っておいで。』

『え、でも…』

桜が少し迷っていると紅葉は桜の鞄を持ちスタスタと歩きだした。
『問題ないよ。』

と言い紅葉はそのまま階段を登っていった。


桜の部屋に鞄を置いて自分の部屋へ入ろうとドアノブに手を伸ばしたた時、太一がそれを止めた。


『紅葉、お前…なんてツラしてんだ。』


なんてツラと言われても自分がどんな顔をしているか分からない。
だが視界が歪む。

ポタポタと何かが滴る。

涙…――――。


『あれ、俺なんで泣いて…』


太一はガバッと紅葉を抱きしめた。

『俺達兄弟だよな?俺にくらい話せよ。
いつもお前はそう溜めて溜めて。』


紅葉を抱く手に力が入る。


『俺が…俺が誰の子でどうして育ったかを…やっと思いだしたんだ。』


太一は大きく目を見開いた。

まるで紅葉がいきなり異国語を話したかのような感覚だった。


『で?どうなんだ。』
『どうって?』


『お前は誰なんだ?』
【続く】

桜咲く季節【第56話】

07/21
俺は目が覚めたら病院にいて、名前も漢字だけしか覚えてなくて…何もわからなかったんだ。』

紅葉はそういうといつも巻いている首の包帯をとりはじめた。

すると、赤黒い痣が見えてきた。

まるで首をしめられた痕のような赤い首輪。

『その痣は?』

桜が問う前に桔梗が問う。


『わからないけど…これを鏡ごしで見ると苦しくて発作が起きちゃうんだ。
病院の先生には精神的なものだと言われている。
金持ちの息子だから命とか狙われてたんじゃないかな?』

と少し笑いながら話した。


『そんな…』


桜は少しショックを受けた。
金持ちの息子ってだけで記憶を失うほど酷い目にあわされたのかと思うとなんだか悲しくなり桜の瞳から大粒の涙がポタポタと流れた。


『桜ちゃん?』

紅葉は桜の顔をのぞきこんだ。

そんな時空気も読めず紅葉の産みの親はガシッと桜の両肩を持ち激しく揺さぶる。

『桜ちゃんどうしたの!?どこか痛いの!?苦しいの!?』

『ら…らいじょうふれす~(大丈夫です)』


桜の目はグルグル回っていて、激しく揺さぶられた為にベンチの背もたれに頭をぶつけて気絶してしまった。


『あ…』
桔梗はやっと手を離した。


『さっ桜ちゃん!?』

紅葉は素早く桜の状態を確かめた。


『大丈夫!!気絶してるだけよ!!』

桔梗は明るく開き直った。


『もし、打ち所悪くてこのまま…………』

紅葉はどんよりと青い顔をしてブツブツ呟きだした。

『だって、いきなり泣き出すんだもん。』

口をとがらし膨れる桔梗。


『いやいや!!どう考えても今のは俺の変わりに泣いてくれてたじゃん!?』

紅葉は怒鳴った。


『あははっ。そのツッコミ懐かしい。
やっぱり本質は残ってるものね。』

紅葉は拳を強く握りしめプルプルふるわしながらも怒りをおさえていた。

『は…母上、そろそろ帰られてはいかがですか?』


桔梗は腕時計を見た。時刻は19時だ。

『そうね。んじゃ帰るわ』




と、桔梗はあっさり帰っていった。


それをポカーンと見送る紅葉。


『あれ、桔梗さん帰っちゃったの?』

桜は後頭部をさすりながら立ち上がった。


『うん。桜ちゃん大丈夫?』


少しよろけている為に桜をまたベンチに座らせた。

桜は大人しく座っていて、何処か浮かない顔をしていた。


『桜ちゃん、どうしたの?浮かない顔してる』

【続く】
プロフィール

☆無月公主☆

Author:☆無月公主☆
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